個人再生の完全ガイド アイキャッチ

借金が500万円超で任意整理では返せない」「でも自己破産で家を失うのは絶対に避けたい」「収入はあるが、月返済額を激減させたい」——こうした状況に最適なのが個人再生です。借金を1/5〜1/10に圧縮し、住宅ローン特則で家を残したまま3〜5年で返済できる、自己破産と任意整理の中間に位置する強力な制度です。

この記事では、個人再生の最低弁済額(100万円〜借金の1/5〜1/10)、小規模個人再生と給与所得者再生の違い、住宅ローン特則の要件と4類型、手続の流れ(6ヶ月〜1年)、費用相場(50〜80万円)、自己破産との比較、信用情報5〜7年掲載、再生計画途中での失敗時のハードシップ免責まで、2026年最新の運用に基づき網羅的に解説します。

最後まで読めば、個人再生が自分に最適か、小規模個人再生と給与所得者再生どちらを選ぶべきか、住宅ローン特則で家を残せるかが即座に判断でき、最大限有利な債務整理の道筋が描けます。

個人再生とは|借金を1/5〜1/10に圧縮する制度

個人再生の効果と適用範囲

個人再生は、民事再生法に基づく個人版の再生手続きです。裁判所の認可を受けて借金を大幅圧縮し、3〜5年で分割返済する制度で、自己破産のように財産処分や職業制限がなく、住宅ローン特則で持ち家も守れるのが最大の特徴です。

個人再生の主な効果

  • 借金を100万円〜原則1/5に圧縮
  • 3〜5年で分割返済
  • 住宅ローンは別枠で継続可(住宅ローン特則)
  • 自己破産と違い財産処分なし
  • 職業制限なし(弁護士・警備員等も継続可)
  • ギャンブル・浪費でも利用可(免責不許可事由なし)

個人再生が向く人の典型像

  • 借金総額500万円〜5,000万円
  • 安定収入がある(会社員・自営業)
  • マイホームを残したい
  • 自己破産の職業制限を避けたい
  • ギャンブル・浪費による借金で自己破産の裁量免責が不安

借金100万円以下なら任意整理で十分。5,000万円超なら通常再生または自己破産。500万〜5,000万円が個人再生の最適レンジです。

自己破産・任意整理との比較

項目 任意整理 個人再生 自己破産
借金圧縮 利息のみカット 1/5〜1/10 全額免除
住宅 維持可 特則で維持可 失う
職業制限 なし なし あり(手続中)
期間 3〜6ヶ月 6ヶ月〜1年 6ヶ月〜1年
費用 1社2〜5万円 50〜80万円 50〜130万円
信用情報 約5年 約5〜7年 約7〜10年
必要収入 安定収入必要 安定収入必要 不要
ギャンブル等 裁量免責対応

個人再生は**「家を残しつつ借金を激減」**という他の制度にない強みを持ちます。

最低弁済額|100万円から借金の1/5〜1/10

個人再生の最低弁済額

個人再生で実際にいくら返すかは、借金額・清算価値・可処分所得の3つで計算されます。最も大きい金額が最低弁済額となります。

借金額別の最低弁済額(小規模個人再生)

借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万〜500万円未満 100万円
500万〜1,500万円未満 借金額の1/5
1,500万〜3,000万円未満 300万円
3,000万〜5,000万円未満 借金額の1/10
5,000万円超 個人再生不可(通常再生・自己破産へ)

例えば借金1,000万円なら最低弁済額は200万円(1/5)、借金600万円なら120万円(1/5)、借金300万円なら100万円(一律)です。これを3〜5年(36〜60回)で分割返済します。

清算価値保障原則

最低弁済額より清算価値(自己破産した場合の配当見込額)が大きい場合、清算価値を支払額の下限とします(民事再生法174条2項4号)。

清算価値の計算対象:

  • 預貯金・現金
  • 不動産の評価額(住宅ローン残債を控除した残額)
  • 自動車(査定額)
  • 退職金見込額の8分の1(在職中)
  • 生命保険解約返戻金
  • 株式・有価証券

例:借金500万円・清算価値200万円→最低弁済額は200万円(清算価値が上回る)

清算価値が高い人は、思ったより弁済額が減らない可能性があるため要注意です。

給与所得者再生の追加要件|可処分所得2年分

給与所得者再生では、上記に加えて可処分所得2年分を弁済額の下限とします。

可処分所得 = 年収 − 税金・社会保険料 − 政令で定める最低生活費

政令で定める最低生活費は世帯人数・居住地で決まり、一般的なケースでは可処分所得2年分が借金額の1/5を上回るため、給与所得者再生のほうが小規模個人再生より弁済額が大きくなる傾向があります。

月返済額の例

借金1,000万円の場合:

  • 最低弁済額200万円(借金の1/5)
  • 5年(60回)返済
  • 月返済額 約3.4万円

借金1,000万円・住宅ローン2,000万円の場合:

  • 個人再生(特則):圧縮後200万円÷5年=月3.4万円+住宅ローン10万円=月13.4万円
  • 通常返済:他借金月20万円+住宅ローン10万円=月30万円
  • 月17万円の余裕で生活再建可能

小規模個人再生と給与所得者再生|どちらを選ぶか

小規模個人再生と給与所得者再生の比較

個人再生には小規模個人再生給与所得者再生の2種類があり、利用条件・債権者同意・弁済額が異なります。実務上は約9割が小規模個人再生で、給与所得者再生は限定的なケースのみです。

比較一覧表

項目 小規模個人再生 給与所得者再生
利用条件 安定収入あり 継続的・安定的給与所得
自営業者 利用可 利用不可
債権者の同意 必要(不同意半数未満かつ債権額1/2以下) 不要
弁済額計算 借金・清算価値 借金・清算価値・可処分所得2年分
弁済額の傾向 少なめ 多め
利用率 約90% 約10%

小規模個人再生|実務の主流

小規模個人再生は自営業者・フリーランスでも利用可で、弁済額が少なめになる傾向のため、実務上の主流です。デメリットは債権者の同意(消極的同意)が必要なこと——書面決議で反対が半数未満かつ反対債権額1/2以下でなければ可決されません。

実務上、消費者金融・クレカ会社は反対しないため、反対債権者がいなければ問題なく可決されます。ただし特定の業者(楽天カード等)が反対するケースがあるため、債権者構成に注意が必要です。

給与所得者再生|債権者反対回避型

給与所得者再生は債権者の同意不要で確実に認可されますが、可処分所得2年分の追加計算により弁済額が膨らむ傾向があります。利用するのは、

  • 反対が確実な債権者がいる(過去の反対履歴等)
  • 公務員・大企業正社員で安定的給与
  • 確実に認可を得たい

というケースです。会社員でも、債権者反対が予想されない場合は通常小規模個人再生のほうが弁済額が少なく有利となります。

自営業者・フリーランスは小規模個人再生のみ

給与所得者再生は「給与その他これに類する定期的な収入を得る見込みがある者」が対象(民事再生法239条1項)。自営業者・フリーランス・歩合制営業職は収入の定期性が認められず、小規模個人再生のみ選択可能です。

選択フローチャート

  1. 自営業・フリーランス→小規模個人再生のみ
  2. 会社員で反対債権者なし→小規模個人再生(弁済額少)
  3. 会社員で反対債権者あり→給与所得者再生(同意不要)
  4. 公務員・大企業で確実認可優先→給与所得者再生

住宅ローン特則|家を残せる最強の武器

住宅ローン特則 家を残す

個人再生最大の強みが**住宅ローン特則(住宅資金特別条項)**です。住宅ローンだけを別枠で扱い、他の借金を1/5〜1/10に圧縮しつつ、自宅を維持できます。

住宅ローン特則の効果

  • 住宅ローンはそのまま支払い継続(または条件変更)
  • その他の借金は1/5〜1/10に圧縮
  • 自宅は処分されない

住宅ローン特則の4要件

  1. 本人居住用の住宅であること(投資用・別荘NG)
  2. 住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと
  3. 住宅ローン以外の債権者の利益を害さないこと
  4. 保証会社代位弁済済みの場合は代位弁済から6ヶ月以内の申立て

要件④の6ヶ月期限が決定的で、これを過ぎると特則使用不可、自宅は競売対象となります。

住宅ローンの取扱い4類型

類型 内容 適用シーン
①そのまま型 月返済額・期間そのまま継続 滞納なし
②期限利益回復型 滞納分を3〜5年で分割解消 短期滞納あり
③リスケジュール型 返済期間最大10年延長 月返済額を圧縮したい
④元本据置型 計画期間中(3〜5年)は利息のみ 大幅な月返済減が必要

リスケジュール型なら、例えば残期間20年→30年に延長、月返済10万円→7万円程度まで圧縮できます。元本据置型は最も大胆で、計画期間中は利息のみ(例:月3万円)の支払いとなります。

住宅ローン特則を使えないケース

  • 投資用不動産(居住用ではない)
  • 住宅以外の借入のための抵当権あり(事業資金担保等)
  • 申立人が住宅の所有者ではない(親名義に居住等)
  • 代位弁済から6ヶ月超過
  • 顕著にプラスの含み益があり他債権者を害する場合

ペアローン・連帯債務の取扱い

夫婦のペアローンはそれぞれ別契約のため、夫の個人再生では夫のローンのみ特則対象。妻のローンは通常通り継続が必要です。連帯債務(夫婦連名のローン1本)の場合は、夫婦両方が個人再生しないと特則の効果が限定的になります。

「6ヶ月期限」を逃さないために

住宅ローン延滞→6ヶ月で期限の利益喪失→保証会社が代位弁済→代位弁済から6ヶ月以内に個人再生申立てで住宅ローン特則使用→自宅維持。このタイムラインを逃すと、自宅は競売へ進みます。督促状を1通受け取った時点で弁護士相談が鉄則です。

個人再生の手続きの流れ|6ヶ月〜1年

個人再生の手続きの流れ

個人再生は申立てから認可確定まで6ヶ月〜1年程度かかります。各ステップの内容と注意点を整理します。

ステップ①:弁護士相談・委任契約

家計収支・財産・借金状況を整理し、個人再生が最適かを判断。多くの事務所で初回相談無料です。

ステップ②:受任通知発送

弁護士から債権者へ受任通知発送→督促が即座に停止(当日〜翌営業日)。この時点から借金返済は一時停止し、生活立て直しと申立準備期間に入ります。

ステップ③:必要書類の収集(2〜3ヶ月)

  • 戸籍謄本・住民票
  • 給与明細(過去2〜3ヶ月)
  • 源泉徴収票(過去2年)
  • 預金通帳のコピー(過去2年・全口座)
  • 不動産・自動車の資料
  • 住宅ローン契約書・残高証明書(特則の場合)
  • 退職金見込額証明書
  • 生命保険証券・解約返戻金見込証明
  • 借入の取引履歴

ステップ④:個人再生申立て

地方裁判所へ申立書類提出。申立書だけで100ページ近くになる大量書類です。

ステップ⑤:個人再生委員の選任(東京地裁等)

裁判所が個人再生委員(弁護士)を選任。委員と面談・指導を受けます。地方の地裁では委員が選任されないこともあります。

ステップ⑥:履行可能性テスト

申立後、毎月最低弁済額相当を委員口座に振込。3〜6ヶ月継続して支払能力を実証します。これに失敗すると認可されません。

ステップ⑦:再生計画案の提出

3〜5年の返済計画を作成し提出。住宅ローン特則を使う場合、その内容も含めます。

ステップ⑧:債権者の意見聴取(小規模個人再生)

債権者が書面決議で意見表明。反対が半数未満かつ反対債権額1/2以下なら可決。給与所得者再生では同意不要。

ステップ⑨:再生計画認可決定

裁判所が認可決定を発令。確定後、計画通りの返済開始。

ステップ⑩:3〜5年の返済→完済

計画通り完済すれば個人再生終了。途中で支払不能になった場合はハードシップ免責または計画変更で対応します。

費用と手続後の生活|信用情報5〜7年

費用と手続後の生活

個人再生の費用と、手続終了後の生活への影響を具体的に整理します。

費用相場

費目 金額
弁護士費用 30〜60万円
申立手数料 1万円
予納金 1〜2万円
個人再生委員報酬(東京等) 15〜25万円
合計 50〜80万円

東京地裁では原則として個人再生委員が選任されるため、費用が高めになります。地方では委員選任なしのケースもあり、合計40〜50万円で済むこともあります。

法テラスの利用

収入要件を満たせば、弁護士費用を法テラスが立替え、月5,000〜10,000円の無利息分割返済となります。生活保護受給者は返済免除の可能性も。

信用情報への登録(5〜7年)

信用情報機関 掲載期間
KSC(全国銀行協会) 約5〜10年
JICC 約5年
CIC 約5年

ブラック期間中は、

  • 新規クレジットカード作成不可
  • 住宅ローン・車ローン審査NG
  • キャッシング・カードローン利用不可
  • 携帯電話の分割購入不可

ただしデビットカード・プリペイドカードは利用可、家賃・公共料金支払いは継続可能。生活上の致命的な制約は実は限定的です。

官報掲載

個人再生は官報に2回掲載(開始決定時・認可決定時)されます。一般人が官報を見る機会はほぼなく、家族・職場にバレるリスクは極めて低いといえます。

ハードシップ免責|計画途中で失敗したら

再生計画認可後、やむを得ない事由で返済困難になった場合、残債を免除してもらえる制度があります(民事再生法235条)。

要件:

  • 責めに帰すことができない事由(病気・失業・天災等)
  • 計画弁済の3/4以上を履行済み
  • 再生計画の変更が困難

これらを満たせば、残りの債務は免除され、再生計画は終結します。

計画変更による期間延長

事情変更により、返済期間を最大2年延長可能です(民事再生法234条)。月返済額を下げることで履行を継続できる選択肢として活用されます。

再生計画の取消し(失敗)リスク

不正・履行不能で再生計画が取り消されると、全債権が復活し、当初の借金額(圧縮前)に戻ります。誠実な手続協力と履行が絶対条件です。

個人再生に関する判例・裁判例

個人再生の重要判例を紹介します。

最判平成21年12月4日(住宅ローン特則の代位弁済要件)

代位弁済から6ヶ月以内に個人再生申立てをして住宅ローン特則を使用した場合、代位弁済はなかったものとみなすとする民事再生法198条2項の解釈を確認。これにより駆け込み個人再生での自宅維持ルートが確立されました。

東京地判平成27年4月14日(リスケジュール型の認可基準)

返済期間20年→30年に延長するリスケジュール型住宅ローン特則の認可事例。原契約期間からの最大10年延長ルールに基づき認可され、月返済額12万円→8万円に圧縮されました。「履行可能性が確保されているか」が認可の決め手となりました。

東京地判平成26年7月22日(清算価値の評価)

不動産評価額をめぐる事案で、任意売却見込額に近い水準を清算価値として認定。査定書1通だけでなく、複数業者の査定や近隣相場との照合を行い、合理的な評価額を採用すべきと判示しました。清算価値が膨らむと弁済額も連動して増えるため、評価方法は実務上の重要論点です。

個人再生のよくある質問(FAQ)

Q1. 個人再生したら家族にバレますか?

A. ほぼバレません。 個人再生は官報に2回掲載されますが、一般人が官報を見る機会はほぼゼロ。書類郵送先を弁護士事務所に指定すれば、家族にも知られず進められます。

Q2. 個人再生中に退職・転職したら?

A. 弁護士・委員に即報告。再生計画の見直しが可能。 収入変動があれば計画変更で対応します。隠すと不認可・取消しリスクがあるため、必ず報告してください。

Q3. 個人再生でも持ち家を失う場合がありますか?

A. 投資用不動産・住宅以外の抵当権あり・代位弁済6ヶ月超過の場合は失います。 住宅ローン特則の4要件を満たさないと自宅は処分対象です。早期相談が決定的に重要。

Q4. ギャンブル・浪費による借金でも個人再生できますか?

A. はい、可能です。 自己破産と違い免責不許可事由がないため、ギャンブル・浪費でも問題なく個人再生できます。これが自己破産より個人再生を選ぶ重要な理由の1つです。

Q5. 自営業ですが個人再生できますか?

A. 小規模個人再生は利用可、給与所得者再生は不可。 自営業者・フリーランスは収入の定期性要件を満たさないため、給与所得者再生は使えませんが、小規模個人再生は問題なく利用可能です。

Q6. 個人再生の弁済額を増やしたいケースはありますか?

A. 清算価値が高い人や保証人を守りたい人など、戦略的に増やすケースあり。 弁済率を上げて保証人への請求額を減らす、再生計画認可確実性を上げる等の理由で、最低弁済額より多く払う計画を組むことがあります。

Q7. 個人再生中に車を買い替えできますか?

A. 計画認可後、生活上必要な範囲ならOK。 ただし高額車は不可。委員・弁護士と事前相談が必須です。

Q8. 個人再生後、5年経つ前に家を買えますか?

A. 信用情報が回復するまでローンは組めません。 完済から5年経過後にCIC等の事故情報が削除され、住宅ローン審査が再び通る可能性が出ます。それまでは現金購入なら可。

まとめ|個人再生は「家を残しつつ借金を激減」の最強選択肢

個人再生は、自己破産で家を失いたくない、任意整理では返せないほど借金が大きい——そうした方に最適な制度です。借金を1/5〜1/10に圧縮し、住宅ローン特則で自宅を維持しつつ、3〜5年で完済。職業制限なし、ギャンブル・浪費でも利用可、信用情報5〜7年で復活、というバランスの良さで、近年利用件数が増加しています。

最も重要なポイントは、

  • 借金500万〜5,000万円で安定収入があるなら個人再生が有力
  • 最低弁済額は100万円〜借金の1/5〜1/10(清算価値で増えることも)
  • 小規模個人再生が主流(弁済額少・債権者同意要)、給与所得者再生は同意不要
  • 住宅ローン特則で自宅維持可能(4要件+代位弁済6ヶ月以内)
  • ハードシップ免責・計画変更で途中失敗時の救済もある

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