「骨折で入院・リハビリ中だが慰謝料はいくら?」「後遺障害が残ったらどうなる?」「部位で慰謝料は変わる?」——交通事故で骨折は重傷類型に該当し、慰謝料は 赤い本別表I で算定。むち打ちより高額です。
結論から言えば、骨折の慰謝料は 入院1ヶ月+通院3ヶ月で115万円、入院3ヶ月+通院6ヶ月で 244万円(弁護士基準)。後遺障害が残れば、12級290万円・10級550万円・8級830万円が追加で認められます。総額は数百万〜数千万円規模になるケースが大半です。
骨折部位ごとに治療期間・後遺障害認定の可能性が異なり、鎖骨・肋骨・脊椎・大腿骨・上腕骨・手指 で慰謝料総額に大きな差。本記事では、骨折慰謝料について 部位別相場・入通院早見表・後遺障害認定・変形治癒/可動域制限・リハビリ・増額のコツ まで、判例と実例で完全解説します。
骨折慰謝料の入通院早見表(赤い本別表I)
骨折は別表I(重傷用)が適用
骨折はレントゲン・MRIで他覚的所見が明確なため、弁護士基準の 別表I(重傷用) で算定されます。むち打ちの別表IIより約30%高額です。
入通院期間別の慰謝料
| 入院期間 | 通院1ヶ月 | 通院3ヶ月 | 通院6ヶ月 | 通院1年 |
|---|---|---|---|---|
| 0(通院のみ) | 28万 | 73万 | 116万 | 154万 |
| 入院1ヶ月 | 53万 | 115万 | 165万 | 211万 |
| 入院2ヶ月 | 77万 | 152万 | 197万 | 244万 |
| 入院3ヶ月 | 92万 | 188万 | 244万 | 282万 |
| 入院6ヶ月 | 154万 | 244万 | 294万 | 320万 |
自賠責基準との比較
自賠責基準は 1日4,300円 の単純計算で、骨折でも増額されません。
- 入院1ヶ月+通院3ヶ月:自賠責約77万 vs 弁護士基準115万円(+38万)
- 入院3ヶ月+通院6ヶ月:自賠責約155万 vs 弁護士基準244万円(+89万)
リハビリ期間も通院期間に算入
骨折後のリハビリも 通院期間 に含まれます。骨癒合後の機能回復のためのリハビリは、医師の指示があれば慰謝料計算上の通院期間として認められます。
通院頻度の重要性
満額慰謝料を受けるには 月10回以上(週2〜3回) の通院が必要。月数回の通院では減額調整の可能性があります。
→ 慰謝料計算は「慰謝料 計算方法」、相場は「慰謝料 相場」を参照。
部位別の骨折慰謝料相場
主要骨折部位の治療期間目安
| 骨折部位 | 入院期間 | 通院期間 | 後遺障害可能性 |
|---|---|---|---|
| 鎖骨骨折 | 0〜1ヶ月 | 3〜6ヶ月 | 12級・14級 |
| 肋骨骨折 | 0〜2週間 | 1〜3ヶ月 | 14級・無し |
| 脊椎骨折(腰椎・胸椎) | 1〜3ヶ月 | 6ヶ月〜1年 | 11級・8級 |
| 大腿骨骨折 | 1〜3ヶ月 | 6ヶ月〜1年 | 12級・10級・8級 |
| 上腕骨骨折 | 1〜2ヶ月 | 4〜8ヶ月 | 12級・10級 |
| 前腕骨折(橈尺骨) | 0〜1ヶ月 | 3〜6ヶ月 | 12級・14級 |
| 手指骨折 | 0〜2週間 | 2〜4ヶ月 | 12級・14級 |
| 足首骨折 | 0〜1ヶ月 | 4〜8ヶ月 | 12級・10級 |
| 顔面骨折 | 1〜2週間 | 2〜4ヶ月 | 7級〜12級(外貌) |
| 頭蓋骨骨折 | 1〜3ヶ月 | 6ヶ月〜1年 | 1〜9級(脳挫傷併発時) |
鎖骨骨折のケース
最も多い骨折部位の一つ。
- 通院4〜6ヶ月で慰謝料 89〜116万円(弁護士基準別表I)
- 後遺障害12級認定で +290万円
- 後遺障害逸失利益(年収500万・35歳):+1,041万円
- 合計:1,500〜1,800万円規模
大腿骨骨折のケース
最も重度の骨折類型。
- 入院3ヶ月+通院6ヶ月で 244万円
- 後遺障害10級認定で +550万円
- 後遺障害逸失利益(労働能力喪失27%):+1,800万円
- 合計:2,500〜3,000万円規模
脊椎骨折のケース
長期治療が必要で慰謝料が高額化。
- 入院2ヶ月+通院1年で 244万円
- 後遺障害11級認定で +420万円
- 後遺障害逸失利益(労働能力喪失20%):+1,400万円
- 合計:2,000〜2,500万円規模
高次脳機能障害(脳挫傷併発)
頭部骨折で脳挫傷を伴うと、高次脳機能障害 が後遺障害として認定されることも。1〜3級認定なら数億円規模になります。
主要判例の実額
- 東京地判 平成30年7月:右鎖骨骨折・12級6号認定 → 慰謝料116万+後遺障害290万+逸失935万 = 約1,341万円
- 大阪地判 令和元年5月:脛骨腓骨骨折・10級11号認定 → 慰謝料244万+後遺障害550万+逸失1,800万 = 約2,594万円
- 横浜地判 令和2年9月:腰椎圧迫骨折・11級7号認定 → 慰謝料244万+後遺障害420万+逸失1,400万 = 約2,064万円
骨折治療と将来手術費
骨折治療中の入通院費用に加え、将来必要となる再手術 も損害賠償の対象になります。
- 抜釘手術(インプラント除去)の費用
- 関節置換術が将来必要な場合
- リハビリの継続費用
医師の見立てで将来手術が予定される場合、その費用も損害として請求可能です。
骨折で認定されやすい後遺障害
主要な後遺障害等級
| 等級 | 慰謝料 | 典型的な状態 |
|---|---|---|
| 8級 | 830万 | 関節用廃(機能完全喪失) |
| 10級 | 550万 | 関節著しい機能制限 |
| 11級 | 420万 | 椎体圧迫骨折・1/2機能喪失 |
| 12級 | 290万 | 関節可動域1/2制限・変形治癒 |
| 14級 | 110万 | 軽微な機能障害・痛み残存 |
12級認定の典型例
最も多い後遺障害認定が12級。
- 12級6号:上肢関節1/2機能制限
- 12級7号:下肢関節1/2機能制限
- 12級8号:長管骨に変形を残す
- 12級13号:神経症状(局部に頑固な)
関節可動域制限の認定
骨折後に関節可動域が制限されると、可動域比率で等級が変わります。
- 健側の3/4以下(25%以上制限):12級
- 健側の1/2以下(50%以上制限):10級
- 完全な機能喪失:8級
リハビリで可動域が回復すれば等級が下がるため、症状固定のタイミング が結果を大きく左右します。
変形治癒の認定
骨折部位が 歪んだまま癒合 した場合、「変形治癒」として12級8号が認定されることがあります。
- 鎖骨:肉眼で確認できる変形→12級8号
- 鼻骨:明らかな変形→12級14号
- 脊椎:椎体圧迫骨折→11級7号
後遺障害申請のポイント
骨折での後遺障害認定を勝ち取るには:
- レントゲン・CT・MRIの 連続的な画像保存
- 関節可動域の 客観的測定(角度計使用)
- 機能制限が 生活・仕事に与える影響 の記録
- 専門医による後遺障害診断書
→ 後遺障害は「後遺障害慰謝料」、等級は「後遺障害等級」、認定は「後遺障害認定」を参照。
リハビリ期間と治療費打ち切り対策
骨折のリハビリ期間
骨折治療は3段階で進みます。
ステージ①:急性期(事故〜2週間)
- 整形外科を受診
- レントゲン・CTで診断確定
- 固定(ギプス・装具・手術)
- 入院(重症の場合)
ステージ②:骨癒合期(2週間〜3ヶ月)
- 安静と部分的負荷
- 経過観察のレントゲン
- 軽度のリハビリ開始
- 自宅療養
ステージ③:機能回復期(3ヶ月〜1年)
- 本格的リハビリ
- 関節可動域訓練
- 筋力回復訓練
- 症状固定の判断
治療費打ち切り対策
任意保険会社は3〜6ヶ月で治療費打ち切りを通告してきますが、骨折は長期治療が必要なケースが多いため、安易に応じてはいけません。
対策①:医師の継続治療意見書
担当医師に 「骨癒合の進行が遅く、リハビリ継続が必要」 という意見書を発行してもらう。
対策②:症状固定の慎重判断
可動域制限が残っているうちは症状固定を急がない。リハビリで改善が止まった時点が適切なタイミング。
対策③:健康保険で立替治療
打ち切られたら健康保険で立替治療継続。後日示談時に既払金として請求します。
対策④:弁護士介入
弁護士介入で打ち切り判断を覆すケース多数。弁護士費用特約があれば実質負担0。
→ 打ち切り対策は「打ち切り後 慰謝料」、治療費負担は「治療費 引かれる」を参照。
後遺症固定のベストタイミング
- 早すぎる:認定機会を失う・治療費請求できない
- 適切:可動域改善が止まった時点(6ヶ月〜1年)
- 遅すぎる:治療費打ち切りリスク
医師と弁護士に相談しながら慎重に判断します。
骨折慰謝料を増額する5つのコツ
コツ①:適切な通院頻度の維持
月10回以上の通院を継続することで、別表I通りの満額慰謝料を確保。月数回では減額のリスク。骨癒合期は月7〜10回・機能回復期は月10回以上が標準的目安です。
コツ②:MRI・CT画像の保管
骨折治療中に撮影した 画像をすべて保管。後遺障害認定時に画像が決め手になります。病院から画像CD-ROMを取り寄せ、自宅でも保管するのが安全です。
コツ③:関節可動域の客観測定
可動域制限の主張には 角度計による客観測定 が必須。医師に依頼して測定値を診療録に残します。
コツ④:弁護士主導の被害者請求(最重要)
後遺障害認定は弁護士主導の被害者請求で 認定率10〜20%向上。骨折は等級が高くなりやすいため、専門弁護士の関与で大幅増額が期待できます。特に12級・10級・8級など中重度の認定では、被害者請求で 数百万円規模 の差が生まれます。
コツ⑤:弁護士基準で交渉(必須)
任意保険会社の提示は弁護士基準の50〜60%。弁護士介入で 1.5〜3倍 に増額が標準。骨折事案では特に逸失利益部分の差が大きく、年収・年齢次第で1,000万単位の差になります。
増額シミュレーション
入院1ヶ月+通院6ヶ月+12級認定(鎖骨骨折)のケース:
- 任意保険提示:通院120万+後遺障害200万+逸失800万= 1,120万円
- 弁護士基準:通院165万+後遺障害290万+逸失1,041万= 1,496万円
- 増額分:376万円
弁護士費用50万円を引いても、手取り増分は 約326万円 です。
→ 増額方法は「慰謝料 増額方法」、弁護士特約は「弁護士費用特約」を参照。
骨折慰謝料のFAQ
Q0|骨折直後にやるべきことは何ですか?
A. ①整形外科を必ず受診(整骨院ではNG)、②レントゲン・CT撮影で確定診断、③加害者・保険会社の特定、④弁護士に相談(早期の事案ほど有利)。事故から1週間以内 の専門医診断が証拠保全の鉄則です。
Q1|鎖骨骨折で通院4ヶ月でしたが慰謝料はいくら?
A. 通院のみ4ヶ月で 89万円(弁護士基準別表I)。手術・入院があれば+50〜100万。後遺障害12級認定なら追加で290万+逸失利益。
Q2|骨折は別表IとIIどちらで計算しますか?
A. 骨折は 別表I(重傷用) が原則。レントゲンで明確な他覚的所見があるためです。むち打ち(別表II)より約30%高額になります。
Q3|大腿骨骨折で入院・リハビリしましたが慰謝料は?
A. 入院3ヶ月+通院6ヶ月で 244万円(弁護士基準)。後遺障害10級認定なら +550万円+逸失利益で総額2,500万〜3,000万円規模が相場です。
Q4|骨が変形治癒した場合は何級ですか?
A. 部位により 12級8号(長管骨の変形) や12級14号などが認定されます。慰謝料290万円+逸失利益(年齢・年収で変動)で総額数百万〜千万単位の追加賠償が見込めます。
Q5|骨折治療中に保険会社が治療費打ち切りを通告してきました。
A. 安易に応じず、医師に治療継続意見書を発行依頼。骨折は長期治療が必要で、3〜6ヶ月での打ち切りは医学的に不適切なケースが多数。弁護士相談を推奨します。
Q6|骨折で後遺障害認定を受けるにはどうすれば?
A. ①症状固定後に申請、②MRI・CT・レントゲンの画像準備、③関節可動域の客観測定、④弁護士主導の被害者請求—の4ステップ。事前認定より認定率が10〜20%向上します。
Q7|手指骨折は慰謝料が低くなりますか?
A. 治療期間が短いため絶対額は小さくなりますが、後遺障害認定(12級・14級)が認められやすい部位。利き手の場合は逸失利益が大きくなります。指の機能制限は職業柄影響が大きい場合(ピアニスト・職人等)、特別な事情として増額交渉も可能です。
Q8|骨折で休業補償も請求できますか?
A. はい、休業損害 として別途請求可能。会社員なら源泉徴収票ベース、自営業者なら確定申告ベース、主婦なら賃金センサス女性平均で算定されます。
→ 休業損害は「休業損害」を参照。
まとめ|骨折は「別表I+後遺障害認定」で総額大幅増
骨折の慰謝料は、重傷類型として別表Iで算定 され、後遺障害認定が加わると総額が大幅に変わります。本記事のポイントは以下の3点です。
- 入通院別表Iで通院のみ6ヶ月116万・入院併用なら数百万円規模
- 後遺障害認定で12級+290万・10級+550万・8級+830万円が追加
- 弁護士主導の被害者請求と弁護士基準で1.5〜3倍に増額可能
任意保険会社の提示をそのまま受け入れず、必ず弁護士に提示額を確認してもらいましょう。骨折は重傷ゆえに増額幅が大きいため、弁護士費用特約を活用しての専門弁護士依頼が王道です。
骨折は事故後の影響が長期に及ぶケースが多いため、症状固定の3ヶ月前 から弁護士に相談しておくのが理想的なタイミングです。